月別アーカイブ: 12月 2015

『ハムレット、復讐せよ』

様式混合を手近なところから語るなら、このミステリがもってこいだ。 英国きっての旧家(公爵家)の令嬢が二十一歳を迎える誕生日、彼女に「白いドレスを着せて溺死させ、埋葬までさせる」お遊びが、当代一と評された画家を父親に持つ芸 … 続きを読む

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様式の混合、あるいは様式の誕生について

芸術作品についてわたしが抱く関心の焦点は、様式の混合、あるいは様式の誕生にある。 このブログでは映画、文学、美術、音楽などをしばしば取り上げている。たまたまその時に出会った作品の感想を書くことが多いため、雑駁な(煮え加減 … 続きを読む

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大鴉

ピニェイロピニェイロと可憐な声で囀っていた小鳥がいつの間にやら物の怪ににでも憑かれたようにカーカーと鳴いている。そのうちもはやないもはやないと不吉に繰り返すようになるかもしれないぞ。 ここらでボルジア屋という屋号の由来を … 続きを読む

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パンチとジュディ(1937)

『火よ燃えろ!』、『ビロードの悪魔』といったカー後年のいくぶんドタバタした歴史物にはこの作家ならではのストーリーテリングの面白さがあるので好きだ。実は『一角獣殺人事件』、『パンチとジュディ』というカーター・ディクスン名義 … 続きを読む

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余計な注釈

『帽子収集狂事件』に登場するアメリカ人ジュリアス・アーバーは、カーの同国人に対する辛辣な見方を窺わせるキャラクターである。薄っぺらな教養、欲深さに臆病と、よくもこれだけ米国教養層をこき下ろすものよと感心する。この辺のカー … 続きを読む

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“Nineーand Death Makes Ten”(1940)

この作品が翻訳されていたことはつい最近知った。ハヤカワ・ポケットミステリの解説に掲載されていたカーおよびディクスン作品一覧にこの作品のタイトルを認めたとき、少年時代のわたしは何としても読みたいと思った。その後数年を経ずし … 続きを読む

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ハドリー、ソクラテスをこき下ろす

わたしたちがハドリー警視として知っている沈着冷静な人物は、『帽子収集狂事件』ではまだ首席警部で、ユーモアのセンスも遺憾なく発揮する。ただし、そのせいもあってこの作品の中盤には脱線が多い。邦訳pp.246-247 から珍し … 続きを読む

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The Mad Hatter Mystery(1933)

今日のカーは『帽子収集狂事件』の三角和代氏による新訳である(創元推理文庫)。同氏による『曲がった蝶番』の新訳が読みやすく、殊にエピローグの感銘が深かったので、後者を図書館に返却したついでに前者を借りてきた(江戸川乱歩没後 … 続きを読む

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The Crooked Hinge(1938)

大掃除のかたわら(つまり大掃除をサボってということだが)これを読んでいる。 なにこれ怖い。 この作品は創元推理文庫の旧訳で小学生の時に読んだ。カーにドはまりしており、創元推理文庫のカー翻訳を片っ端から読み漁っていた。当時 … 続きを読む

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カー

クリスマスにミステリはいける。本日はカー40年代の傑作 “Till Death Do Us Part” を。この頃作者は不倫をしていたことがグリーンの評伝に載っている。やるなカー。この経験が反映したのかしなかったのか、な … 続きを読む

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