30年戦争とコンスティテューショナリズム

30年戦争の悲惨について伝えられている史実を知る人と語り合っていると涙を禁じ得ない。宗教改革と呼ばれているものが、マルクス主義に影響された革命思想のもたらした惨禍に匹敵する害悪を生んだことを、ドイツ農民戦争と30年戦争とが如実に物語っている。

ただこの歴史の惨禍が文明に与えた寄与がなかったわけではない。宗教戦争をいかにして封じ込めるかという知恵――宗教に代表される、他のイデオロギーとの共役を拒否する諸イデオロギー間の、対話の可能性を保障する規約としてのコンスティテューショナリズムである。

私見では、コンスティテューショナリズムこそ近代の最大の成果の一つである。しかし、一般にはそういう見解を(日本の政治家たちの間にはとりわけ)見出すことがむずかしい。最近の日本社会の、長期的な視野を欠いた景気浮揚至上主義とこれに乗じた排外主義(正確に言えば戦争の準備である)を観察していると、そこに思想の核が欠如しているだけでなく、歴史に学ぶという姿勢もまったくないことがわかる。

政治は哲学の課題と不可分であり、その実践にあたって歴史の参照が不可欠である。現在の日本の政治が、哲学とも歴史とも乖離していることには愕然とする。

 

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