メトロポリタン美術館のうれしいサービス

このサイトからメトロポリタン美術館の所蔵作品の精細画像を無料で閲覧・ダウンロードできる。http://www.metmuseum.org/collection/the-collection-online

iPad の画面でためしにデューラーの版画を拡大してみると、ウェブに転がっている無料画像に比べてはるかにきれいだ。今後こうしたサービス提供が世界の美術館に波及していくとすれば、美術作品の見方も大きく変化することになるのだろう。

岡崎乾二郎『ルネサンス 経験の条件』には、ブランカッチ礼拝堂のフレスコ画を単体で見るのでなく、絵画相互の位置関係を各作品の構図に反映させ、礼拝堂の空間において見ることから得られた素晴らしい知見がある。

美術作品のデジタル配信サービスによって寺院・邸宅・城などの内部空間と、そこに配置されている作品の位置を同時に把握できるようになると、絵画や彫刻を美術館なり作家展なりで鑑賞するという行為の意味もまた変わる。“動画”を通じて美術館来訪をシミュレートするTV放送などのやり方は、カメラの移動と作品を捉えるアングルが制作者の視点に支配されるため、見ていて必ずしも満足できるものではない。むしろ静止画像の高精細化によって、空間の中の作品の位置を確かめられるようになることの方に大きな可能性があると感じる(メトの現在のサービスにはまだそのような試みはない。あくまで今後を想定した話なので念のため)。

【追記】たとえばVermeer で画像を検索すると、画家の作品だけでなく、同時代の追随者や、時代を下ってたとえばダリの模写なども出てくる。すなわち美術史的な検索のニーズにも答えており、美学・美術史を研究する人たちにとっては画期的なサービスである。

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