The Mad Hatter Mystery(1933)

今日のカーは『帽子収集狂事件』の三角和代氏による新訳である(創元推理文庫)。同氏による『曲がった蝶番』の新訳が読みやすく、殊にエピローグの感銘が深かったので、後者を図書館に返却したついでに前者を借りてきた(江戸川乱歩没後五十周年という特設コーナーにたまたま置いてあった)。『帽子収集狂事件』の創元推理文庫版旧訳は、フェル博士が登場する作品の中で最初に読んだ。『曲がった蝶番』と同じく小学生の頃だったので、出だしの倫敦塔の紹介のあたりは英国の歴史を知らないため大いに戸惑った。それをきっかけにアンドレ・モロワの『英国史』を読んだのは僥倖だったけれども。

『曲がった蝶番』は、しばしばカー前期の怪奇趣味の例に上がる。しかし、そう簡単に言い切れる作品ではない。あのエピローグは小学生が読んでも味わい深いものだった。読み直してカーが書いた最高の文章の一つではないかと思った。根拠をあげるとネタバレの嵐(荒らし)になるので書けないのが、ミステリの悔しいところだ。ふだん映画でネタバレしまくりではないかと怒られそうだが、これでもわたしなりのガイドラインに沿ってやっている。

『帽子収集狂』の今夜のお供は赤ワインではなく、Ardbeg だ。昨夜訪ねてきた弟の手土産である。最近バーではスコッチを飲むそうで、血は争えない。もちろんIslay は好物である。

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