謝肉祭

日本に滞在して2ヶ月目になる英国人のカルチャーショック動画が人気だ(そのうちリンク切れしそうなので適当にググってみてほしい)。キーワードは‘Bonito Concrete Floor’

? と思われるだろう。カッパ寿司のラインナップの一つで、「カツオのたたき」を意味するらしい。日本語の「たたき」にしたって、魚の調理法以外の意味は、もうおおかたの日本人には通じない。動画の英国人は「コンクリートの床を注文したらコンクリートの床が出てくると思うでしょ。ところが魚なんだ」とクールに指摘している。

キリスト教圏では謝肉祭のシーズンだ。今日わたしはたまたまパヴェーゼ『孤独な女たちと』を読んでいた。謝肉祭のトリーノが舞台だ。時節柄仮面舞踏会のシーンもある。ヴェネツィア、マーストリヒトなど欧州の有名なそれらに比べればこじんまりとしている。

これも偶然だが、最近繰り返し聴いているのはシューマン『ウィーンの謝肉祭の道化芝居』である。オリヴェイラ『神曲』のラストシーンで、マリア・ジョアン・ピレシュがフィナーレの後半を弾いている。あの場面を思い浮かべつつ聴いていたら、謝肉祭の季節だった。

オリヴェイラが『神曲』のラストにこの曲を置いたのは、本作の事実上の主人公がムーサであるピレシュであり、他の人物たちのプレイが道化芝居だからである。シューマンのこの作品は、たんなる性格的小品ではなく、ベートーヴェンのソナタを髣髴させる均衡を備えている。謝肉祭にちなんではいるが、けっしておどけきってなどいない。ピレシュはこの曲を、『神曲』出演と前後してドイツ・グラモフォンに録音している。

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