うおおー

『牯嶺街少年殺人事件』Blu-rayをさっそく視聴した。頬っぺたが落ちそうになる高画質・音質である(不適切な比喩)。

冒頭近く、学校から自転車で戻ってくる父子を道路の手前からものすごく深い被写界深度で捉えたショットがある。画面の奥から二人がこちらに向かってやって来るのが見え始めるところなど、それだけで胸が熱くなる。室内でも屋外でも光の美しさは限りなく、窓越しの木々の緑や、壁面の翳りなどは絶品。たとえばヒロインの少女が怪我をした脚の再診を終えて医務室から出て来る場面で、カメラは彼女の進行方向とは逆に少しパンして白い壁を捉える。少年との会話はしばらくオフで聞こえるが、このショットでは白い壁に二人の影がくっきりと映っている。ブラスバンドの練習が行われている校舎の名高いトラヴェリングや、アイスクリーム店の場面、夜の街のショットなどは溜息が出る。

クライテリオン版は2枚セットだが、Blu-rayの場合、Disk 1 に4時間ヴァージョンの本編がまるごと収録されているのもうれしい。あまりにすごい画質・音質なので、一気に見てしまったが、人によっては短縮版を評価する本作を、この長いヴァージョンで見ると、主人公の少年の父の苦悩が非常に丁寧に描かれていることを実感する。

それに本作のリマスターを長年待ちわびていた人ならわかってもらえるはずだが、本編が奇跡のように始まると、終わってほしくないと思わざるを得ない。長ければ長いほどうれしいのである。

少なくともわたしは、今後本作のヴァージョンを比較する気にはならないだろう。

音声はオリジナルのサウンドトラックの復元を狙っており、たとえば Cat がライブで歌う箇所などに、もともとのサウンドトラックにある通りの音飛びがある。これは適切な処置だと思う。ヘッドフォンで聴いたが、オリジナルの音声がそもそもとても美しい。

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