オルランド

ルドヴィコ・アリオスト『狂えるオルランド』を読んでいる。邦訳で900頁ほどあるが、おもしろいのでサクサク進む。16世紀初頭に発表されるや欧州でベストセラーとなり、18世紀にはヴィヴァルディ、ヘンデル、ハイドンらのオペラのリブレットにそのプロットの一部が利用された。遍歴騎士オルランドの狂気が、これらのオペラ作品においてどのように音楽化されているのかを調べてみると、16-18世紀における狂気の表現の一側面が見えてくる。ミシェル・フーコーは『狂気の歴史』の中で、なぜかアリオストにもその後のオペラへの移植の数々にも言及していない(注)。一方ヴェルナー・シュレーターは、2008年にヴィヴァルディの『狂えるオルランド』(1727年版)の演出を手がけている。

最近はこのヴィヴァルディ作品をくわしく知るために、同じ作曲家の声楽曲を片っ端から聴いている。『狂えるオルランド』については、1727年版と1714年版の比較もしてみた(1714年版は、サルデッリによる修復ヴァージョンの録音がある)。いずれフーコーが取り上げなかった、中世からルネサンスの音楽における狂気の表現について、ヘンデルやハイドンの『オルランド』を含めて論じるつもりである。

注 フーコー『精神疾患と心理学(第3版)』(1966年)の第5章「精神疾患の歴史的形成」には、アリオストへの直接の言及こそないものの、「騎士道物語の大冒険は、好んで荒唐無稽な精神の発展となり、それはもはや空想を制御することができなくなる」(神谷美恵子訳、邦訳p. 118)という指摘がある。

【履歴】 「注」を加えた。(2016/6/4)

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