沈黙の馬

ベルイマン『沈黙』の戦車(タンク)のショットを引き合いに出して、スーザン・ソンタグは「戦車をファルスの象徴だなどと言うやつはさっさとくたばれ」(大意)と言った(『反解釈』)。しかし、こういう非難の仕方はよくないーーあなた(ソンタグ)が「ファルス」言うとるやないですか。

関係ないが、『沈黙』には戦車だけでなく、今にもぶっ倒れそうな馬車馬が二度登場する。ホテルの上空を戦闘機らしき航空機が飛んだり、冒頭の列車の窓越しにこれまたタンクを何台も積んだ貨物列車がすれ違うのが見えたりと、不穏な異国の雰囲気がなかなかおもしろいとわたしは思う。

公開当初はイングリッド・チューリンのマスターベーション・シーンが話題になったそうだ。今見るとずいぶんあっさりしていて、あなたそんなんでイったのですか、という印象だ。イく、イかないの問題ではないのかもしれない。それにしても妙な描写である。

脱線した。『沈黙』の馬はニーチェの馬を思わせる。映画というよりも、ニーチェが街頭で抱きしめたという馬を。

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