座談会

桐子「わたしたち、百合ってこと?」
ミサト「作者のうすっぺらい、ネガやおい的感性にはあきれるわ。にわかのやおいにハードゲイ動画を見せると泣き出すっていうけど、その程度の想像力よ」
この子「わたし、すっかりバカ扱いされててむかつきます」
桐子・ミサト「このちゃんー。よしよし」
桐子「あの作者、『ハッピーアワー』のキャラクターが紋切り型だってナンクセつけてたけど、ご自分の『小説』はどうなのよって思う」
この子「そうですよね。それに蜜蜂銀行、おもしろくないです」

コノワタ「遅くなってすまない。ところで、なぜわたしの名前はカタカナ表記なのかな」
ミサト「先生は、あざらしの好物らしいですよ」
あざらし「先生、ミサトさんのお店では記憶術をめぐって絡んでしまい、申し訳ありませんでした」
ミサト「あざらしさんも、ただ惚れっぽいだけの中年男にされてしまって、お気の毒です」

桐子「やっぱり、わたしたちで書き直したほうがいいと思う。わたし、逗子のお嬢さまとか、取ってつけたようなキャラがまず気に入らないわ」
ミサト「そうでしょう? 何かにつけて美女とか美少女とかいうわりに、細部の描写が何もないじゃない。逗子のお嬢さまって何よ。作者がどれほど女にあぶれているか透けて見えるようだわ」
桐子「いっそのこと舞台を極寒の北海道にして、わたしたちはあざらしのコートでぐるぐる巻きになっちゃいましょうよ。それでも『美少女』だと言い張るなら、どうぞ描写してみせてください、って」
あざらし「コートはやめてください」
ミサト「北海道ではあざらしが流氷に乗ってプカプカしていますよね。あざらしさんはあの役がいいわ。語り手はめんどうでしょ?」
あざらし「いえ、それよりぼくはミサトさんと桐子さんの両方とつきあう男の人になりたいです」
桐子「美少女ふたりとあざらし一匹なんて、さまにならないと思いますけど」
あざらし「じゃ、名前を一色に代えてくださいよ」
ミサト「何を言ってるんですか? わたしたちが別の世界に移行したら固有名だけが貫世界同定の指標なんですよ。名前を代えちゃったら元も子もないでしょ」
あざらし「でも一色があざらしではないという根拠は特にないと思いますが」
ミサト「あなた自身が一色にやきもち焼いてましたよ」
あざらし「そうですねー」

桐子「逗子の夏がどうのじゃなくて、厳しくつらい極寒の地でわたしたちは北大めざしてガリ勉に励むのよ。アバンチュールもへちまもないわ」
この子「話をどの方向に進めるんですか」
桐子「そうね。わたしたち、食べ盛りだし、毎日厳しい労働に励んでいるから、新鮮な魚介類をやまほど食べないと生存がおぼつかないわね。ここがシチュエーションのポイントよ」
ミサト「鮭を食べ過ぎて、ついにまるまると太ってしまうっていうのはどう?」
桐子「鮭と、ニシンね。さすがにごはんの描写くらいなら、あの作者にもできるでしょう」
あざらし「いやだー」
コノワタ「ちょっといいですか」
ミサト「どうぞ」
コノワタ「それではわたしの出番がないと思いますが」
ミサト「先生はあざらしさんに食べられ、あざらしさんはわたしたちの生存戦略に従って毛皮にされるんです。理にかなってません?」
コノワタ「うーん」
この子「いいですね。熾烈なサバイバル・ストーリーが見えてきました」

ミサト「ついでにもう一人くらい登場人物を出しましょうよ」
桐子「作者が昨夜、うきょうくんからおもしろいネタを聞き出したそうよ」
桐子以外一同「なあに(なんですか、へー等)」
桐子「うきょうくんの友だちに免許オタクのひとがいて、この前佐渡に行ったときに、たらい舟の免許を取得したんですって」
桐子以外一同「?」
桐子「たらい舟って、これです」

〈たらい舟〉

あざらし「免許というのは、この舟を操つる免許ですか?」
桐子「そのようですわ」
ミサト「うきょうくんのお友だちは他にどんな免許を持っているの?」
桐子「雪上車も除雪車も運転できるんですって。すごいわ」
ミサト「雪上車は極寒の地にぴったりだけど、たらい舟は北海道にもあるのかしら」
桐子「それが、佐渡にしかないのよ」
この子「じゃ、免許持っててもめったに使うことはないですね」
桐子「でもわたしたちが北海道でサバイバルしているときにどか雪が降って、それを王子様が雪上車で除雪しながら助けに来てくれて、佐渡ヶ島にたらい舟で行くとか素敵よ。作者も生意気にサドがお好きなようだし」
ミサト「夢があるわね」
この子「わたしこういうの思いついたんですけど。北海道上空を飛ぶ飛行機が雪原に不時着してしまい、ミサトさんたちのサバイバルに合流します。お二人の佐渡移住構想を知ったキャビンアテンダントは、『お客様の中に雪上車と除雪車とたらい舟の免許をお持ちのかたはいらっしゃいませんか』とアナウンスするんです。これを聞いておもむろにイケメンが立ち上がる」
一同「それでいこう(いきましょう、いやだー等)」

 

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