ラモー『ダルダニュス』

『ダルダニュス』はラモー1730年代の意欲作であり、バロックとモーツァルトの様式を結びつける点で音楽史的に見逃せない作品である。

序曲(フランス風)中間部の動機は、J・S・バッハの管弦楽組曲第1番の冒頭楽章でもおなじみの、盛期バロック特有のリズムによる(拍子は異なる)。モーツァルト中後期の作品にも、おそらく作曲者本人の試みとしてバロック様式の名残を留めるものは多いが、一例をあげると変ホ長調のピアノ・コンチェルト K.449 の第1楽章に、『ダルダニュス』序曲と同じ動機が用いられている(本作はモーツァルトの変ホ長調を代表するみごとな作品で、冒頭の彼ならではの独創的な動機の展開のしめくくりーー提示部末尾と終結部ーーで、『ダルダニュス』序曲のバロック的モティーフが登場する点が興味深い)。

『ダルダニュス』はラモーの対位法が新しい様式にどう適用されつつあるかについてのドキュメントだが、それがはっきり現れるのはシャコンヌにおいてだろう。ラモー固有の音楽でありながら、ここでもJ・S・バッハとモーツァルトを結びつける曲想が聞かれる。

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