「エメラルドの軌道に」(パウル・ツェラン)

「エメラルドの軌道に」はパウル・ツェランの死後に刊行された詩集『時の屋敷』(1976年)に収録されている(制作されたのはおそらく1969年)。わたしは中村朝子氏訳『改訂新版 パウル・ツェラン全詩集Ⅲ』(2012年)ではじめて読んだ(この作品の存在もこのたび知った)。興味深いことにこの詩はUngrund(無底)の一語で締めくくられている。ツェランはヘルダーリンを愛読し、自身の作品にも何度か引用している。またツェランがハイデッガーと会見したことも知られている(どうやら対話はすれ違いに終わったようだが)。こうした事実から詩人がシェリングの文章に触れていたであろうことは容易に推測できるが、中村氏の訳にはシェリングに関するコメントはない(締めくくりの語が原文でUngrund であることには触れられている)。中村氏の訳を掲載させていただく。

 

エメラルドの軌道に
撃ちこまれて、

幼虫の羽化、星の羽化、あらゆる
竜骨をつかって
ぼくはお前を探す、
底なき底を。
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